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Miyajima News

2019年12月31日

「静かにもがく」一年に

【令和2年(2020年)1月のコラム(第229号)】 


2015年の8月に同業者さんから譲っていただいたプレスを4年がかりで整備してやっと動かせるようになりました。
年数は経っていますが本体はすごくしっかりしていて力のある機械です。
これでより良い製品を、より安全に、より静かに、より高い生産性で鍛造できるよう生かしていきたいと思います。

1.「静かにもがく」一年に

明けましておめでとうございます。
旧年中はいろいろとお世話になりありがとうございました。
本年もどうかよろしくお願いいたします。

さて、今年の私の心がけは「静かにもがく」一年にしたいと思っております。

「もがく」とは「手足をばたばたさせて、もだえ苦しむ」という意味ですが、どういう漢字を書くかご存じですか?
正しくは「踠く」(足偏に宛)と書くそうですが、当て字で「藻掻く」という書き方もあって、僕はこの方がしっくりきます。
すなわち溺れる人が必死に水中の藻を掻いて掴もうとするようなイメージです。

忘れもしない小学校の時の夏休み、母の姉が住む長野県の佐久に行った時のことです。
そこには「泉ちゃん」という二つ年上の従兄がいて、近くの千曲川へ魚獲りに連れて行ってくれました。
川べりに蘆のような背の高い草が生えていて、その根元をサッとザルで掬うと魚が獲れ、すっかり夢中になってしまいました。
その時、右足の先の水が妙に濁っているのでなんでかな?と思い、そこに右足を入れてみると、
なんとそこは濁っていたのではなく、急に深くなっていたのでした。
私は一瞬でその深みに足を取られ、何が何だかわからぬまま流れにさらわれてしまいました。
「泉ちゃーーーん!!!」と必死に叫んで助けを求めても、聞こえそうにありません。
私はまさに「溺れる者は藁をも掴む」というとおり、、両手で必死に「藻掻き」ました。
そしたらなんと信じられないことに、一本の草の茎が、手のひらの中に入ってきたのです。
私は「この茎が切れたらおしまいだ」と思い、茎が切れないよう、そーっとそーっと手繰り寄せました。
そしてなんとか川岸に辿り着くことができたのです。元の茂みからはかなり流されていました。
大げさかもしれませんが、あの時はホント死ぬかと思いました。
それ以来僕はすっかり水恐怖症になってしまい、泳げなくなってしまったというのは内緒です(笑)

このとき、人というものは、絶体絶命のピンチになると必死にもがくものなのだと身をもって知りました。

ところが、実は企業においては「絶体絶命のピンチ」になってからもがいていては遅いのです。
まさにToo Late!です。
たとえ今が絶体絶命のピンチでなくとも、常に危機感をもって、少しでも余裕のある内からもがかなければならない。
しかし手足をバタバタさせてもがくというのは、やはりカッコいいものではありません。
「禅定(ぜんじょう=心を静かに定めること)」という禅の教えがあるとおり、
いかなるときもバタバタせず、じっくりと考えながら、心の中で「静かにもがく」。
なかなかむずかしいことですが、これを今年一年の心がけにしたいと思います。

本年もどうかよろしくお願いいたします。

 
年末に買い物に行ったら、こんなウイスキーのボトルが目に留まりました。
なんとスコッチウイスキー Johnnie Walker の限定品で「A Song Of Ice」という
素敵な名前のウイスキーです。しかも赤い目が光る白いオオカミの強烈な図柄のボトル!
迷わず買ってしまいました(笑)
実はこのボトル、上の写真のように4本並べると白いオオカミの全身が見えるという
心憎いアイディアでデザインされています。正月に楽しんでいただきます(#^.^#)

└誠一郎のコラム