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Miyajima News

2005年10月10日

「待つ」ということ

【H17年10月のコラム】
クモ
「待つ」ということ
いきなりグロテスクな写真で申し訳ございません。
秋分の日も過ぎ、いよいよ秋らしくなってきた最近ですが、先日家の隣の母屋の軒下で、しっかりと巣を張り、無言で(当然ですが)待つ大きな蜘蛛を見つけました。
「涼しくなってきたから虫も少なくなったやろし、こんなとこで巣を張ってても餌捕れんのとちゃうかいな・・・」と妙な同情をしながら、とはいうもののやはり気になって翌日も見てみると、果たしてその蜘蛛は、昨日にもまして「堂々と」待っているではありませんか。
そしてその蜘蛛の巣をよく観てみると、昨日から今日の間に増えたのかどうかは定かでないにしろ、確実に何匹かの獲物の残骸らしきものは付いているのです。
昔愛知県の工作機械メーカに勤めていた頃、和歌山県出身の同じ課の人で、びっくりするほどの額を株で儲けていたHさんという人がいました。
その人が或る時、
「わしなあ、昔公園でぼーっと木の下で寝転がっとってなあ、その時ふと空を見たら頭の上に蜘蛛が巣を張っとってな、なんでこいつはこんな天気のええ日にこんなとこで巣を張って待っとるんやろ・・・と考えてたら・・・パーッと『これや!』と閃いてなぁ、それから株を始めたんや。
株は慌てたらあかん。確実に、絶対に来る・・・と思う株を研究し尽して買って、ここまでと決めたとこまで来たらさっと売るのや。
そしたら絶対に儲かるんやで」
と、こそっと僕に話してくれたのを思い出しました。
あれからおそらく17、8年は経っているでしょうか。
その間、僕は「待つ」なんてことは露も考えず、待つ暇があれば、少しでも何かをしよう、すべきだ、といつも焦ってきてしまっていたように思います。
(そういえば7月のコラムのテーマも「あせるな」でしたが・・・。)
そんな私ももうすぐ43歳!今更ながらH氏の言葉の意味が解ってきたような気がします。
とはいえ、「株」は自分にはまったく才能がありません。
ですから、自分なりの「待つ課題」をつくり、ちょっとは大人の経営者になろうかなと思うこの秋でございます。

└誠一郎のコラム