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Miyajima News

2005年3月24日

サムシング・グレート

【H17年3月のコラム】
Something Great サムシング・グレート
木
多賀町を東の山に向かってずっと入っていくと、保月(ほうづき)という廃村に抜ける途中に、杉坂峠というところがあります。
この峠は、関ヶ原の戦いの時に西軍不利と見限って必死に薩摩に戻った島津義弘の逃避行のルートとして歴史に名を留めていますが、ここには「杉坂の御神木」という幹周約12mにも及ぶ滋賀県最大の杉の巨木があります。
この木は多賀大社の祭神、伊邪那岐(いざなぎ)の神様が昔この地に降り立った際、村人に出してもらった柏の葉に盛られた栗御飯を食べた時の杉の箸を地に刺したのがはじまりと言われていますが、今まで何度かこの峠を通ったのに見たことがなかったので3月19日の土曜日、天気の良さに誘われてぶらっと一人で車で行ってみました。
確かに山道の脇には「多賀神木」と彫られた石柱はあるものの、それらしい木は周りに見当りません。
しかし折角久しぶりに来たのだからと、道らしい道もない斜面を少し下っていってみました。
すると、なんとそこには・・・「神々しい」としか言いようのない、立派な杉の木が立っていたのです。
それを見た瞬間、私の頭の中に浮かんだのは「Something Great(なにか偉大なもの)」という言葉です。
木2 木3
坂を30mほど下ったところにある御神木   幹が三本に分かれ、空に向かって伸びています
この世の中のことは、殆どが日々の人間のいとなみによって作られています。
事実、人類の長い歴史の中で、数え切れないほどの遺産というか、生きた証が作られてきました。
しかしこういう、言葉に表せないほどの、自然の気高さというか、精気を感じる時、実は人間のいとなみなんてものは宇宙からすれば実にちっぽけなものである、ということを思い知らされます。
まさに自分は自然の大きな力の中で、「生かされている」のだ、ということを全身で感じ、しばし身動きがとれないままボーっとした時間を過ごし、坂を下りてきました。
こういう素晴らしい自然がすぐ近くにあることに感謝するとともに、与えられた人生、ちっぽけかもしれないけれど、自分の命をめいっぱい大事にしてがんばってやろう、と素直に思えた一日でした。
石柱標識 眺め
杉坂峠の道沿いにある石柱・標識と、その近くからの眺め
遠くに琵琶湖・沖ノ島・比良山系がみえます(H17.3.19 撮影)

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