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Miyajima News

2020年8月1日

ムトンハンマーの語源

【令和2年(2020年)8月のコラム(第236号)】 

1.ムトンハンマーの語源

7月のある日、日本有数の鍛造機械メーカのE社長からメールが届いた。
「ムトンハンマーの語源をご存知ですか?」と。
E社長は今でこそコロナで動けないが、ふつうなら一年の半分以上を海外営業に飛び回っておられる、いわば「国際派知識人」である。
その方がわざわざ僕に訊いて来られたということはあれこれ調べた上でわからなかったからにちがいない。
ちなみに「ムトンハンマ―」というのは、今ではめずらしい古いタイプの鍛造機だが、実は弊社では今もメインとして使っている上図のような鍛造機である。
おもり(金鎚)を板で巻き上げて落とす方式なので「ボードドロップハンマー」とも呼ばれている。

念のため「ムトンハンマー 語源」でGoogle検索してみたが、やはりそれらしい記事は見当たらない。
「こりゃ困った!期待を裏切るわけにはいかんしなー」と思ったものの、まったく手がかりがない。
こういう時は、人に訊くに限る。
しばしの間、自分の頭の中でこれは誰に尋ねるのがいいか・・・考えを巡らせた。
そしてパッと閃いたのが業界の大先輩、大阪のN鍛工のS会長である。
すぐに電話して「S会長、ムトンハンマーの語源を知りたいのですが、ご存知でしょうか?」と訊いてみた。
ところが、さすがのS会長もご存知ない。さて、次はどうしたものかと考えている内に、電話の向こうでS会長がこうおっしゃった。
「うーん、ようわかんけど・・・もし書いてあるとすれば、鍛造協会が三十周年の時に発行した記念誌かなぁ。
あの本の編集に自分も若いころ関わったんやけど、あの本は色々なことをほんまよう調べて書いてあるんや。
宮嶋君のとこにあるかな?もしなかったらウチの会社にあるはずやさかい、ゆうてくれたら見てみるで」とのこと。
そしたらなんと、その本が弊社にも残っていたのです。
今から40年前、昭和55年に発行された「鍛造工業会三十年史」という本である。
この本をちゃんと残しておいてくれた親父に感謝です。

祈るような気持ちでその本を開いてみると・・・・やはりS会長のおっしゃるとおり、そこに書いてありました。
ムトンハンマ―の語源」が!

・フランス人Mouton(ムートン)が発明したことによる
もしくは
・フランス語のMouton(大槌の意味)から
と言われるが明らかではないとのこと。

おかげでE社長の質問にお答えすることができホッとしたわけだが、E社長が私に尋ねてこられ、
それを私がS会長に電話して質問し、それで教えてもらった40年前の本を父が残しておいてくれた、
そのおかげで答えに辿り着けたというこの「不思議な連鎖」に、我ながら感動してしまった。
これからもこういう「つながり」を広げ、さらに後の時代の人にもつなげていけたらなと思います。


現在の当社の「ムトンハンマー」ことボードドロップハンマー。
ドイツやイタリアの同業者が来た時、これを見てビックリしてました!(笑)

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