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Miyajima News

2010年9月20日

KNOW YOUR BOAT!!

【H22年(2010年)9月のコラム(第111号)】





          広島県呉市の「てつのくじら館」



1.KNOW YOUR BOAT !!


 Know Your Boat(己の艦を知れ)

これは広島県呉市にある「てつのくじら館」(正式名称:海上自衛隊呉資料館)の

展示にあった言葉である。



「潜水艦乗りへの第一歩は、己の艦を徹底的に理解することからはじまる」

と説明がある。



孫子の兵法に「敵を知り、己を知らば、百戦危うからず」という有名な言葉があるが、

まさにこの言葉と同じである。いや、正確には「敵を知る前に己を知れ」と言っている

のがこの展示の言葉だろう。



 私も今年で48歳。

時々先輩経営者の方から「宮嶋君、来年息子が学校を卒業するのだが、一旦外の

飯を食わせた方がよいか、すぐにウチに入れた方がいいか、どちらがいいと思う?」

という相談を受けることがある。


僕は自分の経験しか語れないから、「出来ることなら一度は外に勤められた方が

いいと思いますよ。親父さんの会社に入ってからよそに入り直すというのはできないし、

いきなり“社長の息子”という立場で入るよりは“まったくの平社員”として入社して

人に使われる者の立場も経験した方がいいですから」と答えることにしているが、

実はこう訊いてくる方の腹は決まっている場合が多い。

大抵は後者、すなわちすぐに自分の許へ呼び戻したいのである。



もちろん、各社それぞれに状況が違うから、どちらがいいとは一概には言えない。

学校を出てすぐに親父さんの会社で一からスタートし、今では社長となって大活躍して

いる人も何人も知っている。



要は大事なのはKnow Your Boat!

自分の会社の実務をどれだけ深く理解した上で艦を動かすかということだと思う。



 「俺が若い頃はなあ」と若い人に言うようになったら自分もオッサンやということ

だろうが、4年間の社会人を経験したのち、26歳で父の会社に入り、しょっちゅう

指を挟んだり顔をやけどしたりしながら昼は現場で仕事を学び、夜は伝票や図面と

向き合い、気がつけば日付が変わっていた・・・というのは日常茶飯事であった。

こういう経験は、やはり若い時にしかできない。



 今日9月20日は、弟の23回目の命日である。

彼が事故で亡くならなければ、僕は40歳くらいまで外に勤めていたかも知れない。

今僕の大きな力となってくれている三男の弟も帰ってきてくれていなかったかも

知れない。



Know Your Boat!



この言葉を、亡き弟からの言葉だと思って

今一度、自社のことをよく考えてみようと思う。





 

   呉港には、こんな風に現役の潜水艦が何隻も停泊しているのです



 

これが「てつのくじら館」 全長76.2m 潜水艦「あきしお」の現物が展示されています。

潜水艦の構造や世界の海に潜む機雷除去の技術が詳しく説明されているほか、

潜望鏡を覗いたり操縦席に座ることもでき、隣の「大和ミュージアム」とともに

技術的にも歴史的にも大変勉強になります。是非呉にもお出かけください。



└誠一郎のコラム