アプセット鍛造のメリット有無の判断基準
【アプセット鍛造による、メリット有無の判断基準】
→ 削り出しの場合の材料費よりも鍛造素材の方が安価かどうか?
※実際にはアプセット鍛造をすることによる機械加工コスト(加工時間)の
低減効果もありますが、厳しい昨今、機械加工コストも相当抑えられており、
よほど軸部が長いものでないと、なかなかその分までは見て頂けません。
よって基本的には鍛造素材費≦削出し丸棒費でないとメリットなしと考えています。
【メリットを大きくするための、5つのポイント】
(1)ツバ径と軸径の段差が大きいほど、メリット大
(2)長いものほど、メリット大
(3)単価の高い材料ほど、メリット大
(4)ロットが多いほど、メリット大
(5)ツバが軸の真ん中にあるものは、メリット大
《補足説明》
(1)ツバ径φDは、軸径φdの約3倍以下が目安(φD≦φd*3)
(2)全長Lが、ツバ径φDの2〜3倍以上が目安(L≧φD*2〜3)
(3)SUS・SUH・SKD・Al・Cu・Ti・Ni合金など、鍛造可能な材質はすべてOK
(4)S-C・SCM材でロット300Kg以上が目安(例:1本10Kgなら30本以上)
SUSなどは100Kg以上が目安
(5)ツバが軸の真ん中にあると、ツバの両側を削り込まねばならないためロス大
【アプセット鍛造に不向きな形状】
基本的には上の(1)・(2)項の逆の形状、すなわち
(1)ツバ径と軸径の段差が小さいもの(φD≦φd*1.5〜2)
(2)全長Lがツバ径φDに対して短いもの(L≦φD*1.5〜2)
が不向きな形状となります。(鍛造工賃が出てこない!)
そのほかに、下記のようなものは不向きです。
(3)ツバ厚Aが大きいもの
(4)ツバが2ヶ所以上にあるもの
《補足説明》
(1)アプセットは細い軸を据え込んでツバを出す方式であるため、ツバ部の体積に
よって何φの材料で鍛造できるかが決まります。よってツバ厚が大きくなれば
体積も大きくなるので材料径を太くしなくてはならなくなり、メリットが出にくく
なります。
(2)シャフトの両端もしくは2ヶ所のツバ出しは、形状や工法により可能な場合が
ありますが、工数・金型費とも2倍以上かかりますので検討が必要です。
☆☆☆ 以上、ご参考にして頂ければ幸いです ☆☆☆