ミヤジマ社長 宮嶋誠一郎のコラム

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1.熟慮断行


【H20年7月のコラム(第82号)】



1.熟慮断行

お世話になった方が定年延長期間満了で退職されるというので松山に来た。
(これは松山で書いているので「来た」となる)

お伺いするのが月曜日の朝一番のため、前日の日曜日に松山に入り、以前から
行きたいと思っていた「坂の上の雲ミュージアム」に足を運んだ。松山にはまだ
路面電車が残っており、それも数分間隔で走っているのでかなり便利である。
時間の都合であちこちは行けなかったが、一日乗り放題の300円券があって、
それを買えば市内をほとんど回ることができると思う。

さて、「坂の上の雲」というのはご存知司馬遼太郎の名作で、「龍馬がゆく」に並んで
広く読まれている長編小説だと思う。“遅読家”の僕としては、全6巻の小説を読むのは
かなりの時間を要したけれども、明治維新後の“青雲の志”を持った若者たちが、
坂を駆け登るように進んでゆく姿を、世界中の誰もが予想しなかった日露戦争での勝利
を結びとして描かれており、その折々にとても印象深い場面や言葉がある。
先月号のコラムで紹介した「かきがら」の話もその中のひとつである。

そのクライマックスはなんといっても東郷平八郎率いる日本の連合艦隊が、大国ロシアの
バルチック艦隊に日本海決戦で大勝利を収める場面であるが、東郷平八郎の参謀として
活躍したのがこの松山出身の秋山真之(さねゆき)で、ミュージアムには彼の揮毫で
「熟慮断行」というのが紹介されており、興味深く見学させてもらったのでご紹介します。



  

「真之は、戦略戦術の天才といわれた。
が、ひょっとすると天才ではないかもしれない。そのことはかれ自身が
知りぬいていたし、第一、明治海軍に天才などはついにいなかった。
まず真之の特徴は、その発想法にあるらしい。その発想法は、
物事の要点はなにかということを考える。」/「坂の上の雲」第二巻より

「バルチック艦隊をむかえるにあたって、真之ら参謀が考えた戦法と海戦図。
一艦も残らず沈めるにはどうすればいいか熟慮した結果である。
のちに「七段構えの戦法」と名付けられた。」/左上海戦図の説明文より


真之は世界中の戦略に関する書物を読み漁り、研究に研究を重ねたと言われている。
その彼が悩みに悩んで立てたのが上記の戦法であり、その結果が日本の運命を
決める日露戦争の勝利に結びついたわけであるが、物事の「要点」を把握し、
誰にも負けない知識をベースに考えに考えぬく。そして決めたらそれを「断行」する。
これは現代においてもあらゆることに通ずることであり、折に触れこの揮毫を思い出し、
「熟慮」ができるように努めたいと思った。


  
左:ミュージアムは安藤忠男氏の設計で、三角形の建物に沿ってゆるやかな
坂を上りながら見学するようにできています
右:ミュージアムの手前を上っていくと、夏目漱石と正岡子規が暮らした
「愚陀佛庵(ぐだぶつあん)」がひっそりとあります(移築されたもの)


松山といえばなんといっても道後温泉の本館ですね!


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